鳥が横
この3文字が彼女の動揺を表していたわ。
スマホも携帯も持たない両親が、
あたくしたちに何かあったことを伝えている・・・
妹にもそれがわかったのね。
やっと電車が実家の最寄駅に到着して、
あたくしはすぐタクシーに乗ったわ。
行き先は実家近くの総合病院よ。
もし親が救急車で運ばれたのだとしたら、
家から一番近くて救急の受け入れをして
いるその総合病院のはず・・・。
タクシーの中から妹に電話をして、家で
待っているように言ったわ。
だって救急車は何かの間違いで、両親は
買い物にでも行っていて、小一時間したら
何事もなく帰ってくるかもしれませんもの。
病院が近づいてくると、そのあたりは
子供の頃によく通っていた道。
一人暮らしを始めてからはほとんど
通ることがなかったけれど、その間に
街並みがずいぶん変わっていたわ。
商店がマンションになり、同級生の家が
なくなって月極駐車場になってたり。
かつてよく知っていたのに今は知らない
場所。
そのことが、あたくしをますます不安に
させたわ。

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